街並み保全講義とプロジェクト課題に取り組むイタリア研修

地域研究・国際研修プログラム

イタリアは世界屈指の文化遺産の宝庫である一方、経年劣化や地震といった自然災害によって、貴重な文化遺産や街並みが危険な状況に置かれているのも実情です。イタリア屈指の建築系、都市計画系の学部を持つサッサリ大学、ラクイラ大学などと連携し、ヨーロッパ各地の大学や研究機関と合同で実施するこの研修では、ヨーロッパ各地の大学生や大学院生とともに、街並み保全に関する講義とプロジェクト形式の課題に取り組みます。

研修の様子

研修を引率するのは、住民参加論・観光まちづくりを専門に教える城月雅大准教授です。以下、城月准教授が研修の様子を紹介します。

授業の風景。即興で色々な専門家からのレクチャーが行われます

プロジェクトの完成に向けて行うグループワークの様子

1週目

最初から本気モード開始

イタリア研修は、基本英語で行われますが、語学を学ぶ研修ではなく、英語はあくまでプロジェクトをチームで行うためのツールとして使う研修です。チームメイトとなる学生たちは、世界各国からやってきますが、主に、イタリア、ドイツ、ポーランド、イギリスなどからの学生と、タイや名古屋外大生のようなアジアからの学生も集まります。教員は、建築学、都市計画、都市デザイン、コミュニティデザインなどの専門家たちです。

研修に慣れるための時間などはなく、到着した翌日から即研修が開始されます!チームメイトたちからの専門的知識や関心に基づいた怒涛の質問に加えて、みっちりと朝からテーマに沿った授業が行われます。イタリアらしく、午前の授業が予定より長くなり、14時頃にゆっくりランチが始まることも珍しくありません。

受講しているイタリアの学生にとってはほんの少しの時間のずれ込み。日本の学生はこうしたちょっとした瞬間に文化の違いを感じながら、異文化の刺激いっぱいの1週間を過ごしていきます。

屋外も即興で教室に変わります

学生同士の議論に次ぐ議論の様子。大学院生がチューターとして参加します

各チーム、本気モードの「競合」相手です。膨大なデータをアウトプットします

学生によるプレゼンの様子。プレゼンテーションは、CADやGIS(地理情報システム)などを用います

2週目

現場での作業、フィールドワーク

2週目になると、各グループのプロジェクトを完成させるために指定されたフィールドに出かけていき、調査をしたり、現地の方々にインタビューなどを行いながらデータを集めていきます。そして、大学に戻ってはグループで議論を行います。これが、深夜3時頃まで及ぶこともザラにあります(笑)。これらを踏まえ、その成果を自治体の市長さんへプレゼンテーションを行います。

タフな研修ですが、プレゼン後は、Passeggiata(パッセッジャータ:イタリア人の特徴で夕方になると特に決まった目的のないお散歩を行います)をしながら、アペリティフを楽しみ、その後の長い夜が続きます。ヨーロッパらしい時間の流れの中、しっかりと学ぶことのできる充実感あふれる2週間です。研修の最後には、ローマなどの観光を行って帰路につきます。

バチカン市国にあるカトリック教総本山のサンピエトロ大聖堂の前で記念の一枚

バチカン美術館。参加者全員その壮麗さに圧倒されます