国際開発・国際協力の現場を知るタイ研修
地域研究・国際研修プログラム
海外の研修は英語を学ぶことに主眼をおかず、英語をツールとして専門的な学びを行うことを目的としています。 具体的には、授業で学んだ知識を背景に、現場で 、1)観察・情報収集をする 、2)問題・課題を発見する 、3)問題・課題を分析する、4)問題・課題解決の糸口を考える、といった一連の作業に取り組むことにより、課題解決の力を培うことをめざします。
ガバナンス系の専門科目群で学んだ国際開発・国際協力について、海外の現場では実際どのように実践されているかについて知見を深めるため、タイの首都バンコクにあるアジア工科大学院(AIT: Asian Institute of Technology)の支援を得ながら、ジェンダーと開発や農村・地域開発などのグローバルな課題に取り組む現場研修プログラムです。大学での授業に加え、現地NGOの視察や交流を行います。
研修体験報告
2019年夏季休暇期間に実施した15日間の国際開発・国際協力現場研修の概要をご紹介します。
1週目
バンコクにて「アジア工科大学院の授業参加および地元NGO訪問」
アジア工科大学院の授業に参加しました。研修で使われた言語はアジア工科大学院の公用語である英語。お茶の水女子大学大学院ジェンダー社会学専攻の大学院生との合同研修です。各自の興味に応じて「ジェンダーと開発」、「農村・地域開発」のどちらかの授業に参加しました。
3日目以降はタイの社会・文化問題に取り組む現地のNGOを訪問し、各機関の目的や活動についての説明を受け、質疑応答を行いました。
訪問した団体
- Central Thailand Mission(キリスト教系慈善団体)
- Thai Transgender Alliance(トランスジェンダーの権利を守るために立ち上げた団体)
- Forward Foundation(スラムから郊外に強制移住させられた女性を支援する団体)
- Association for the Promotion of the Status of Women(夫から暴力を振るわれた女性とその子供のための避難所として創設された団体)
- Marketing Organization for Farmers(タイ国農業省によって設立された外郭団体)
- Service Workers in Group Foundation(性産業に従事する人々を対象に、タイに蔓延するHIV/AIDSの減少を目的に設立された団体)
2週目
チェンライにて「山岳少数民族の生活実態調査と子どもたちとの交流」
第2週はタイ北部に位置するチェンライに滞在しました。現地の方々とコミュニケーションをとる際には通訳を交えてタイ語やミャンマー語が使われました。タイ北部には山岳少数民族が多く居住し、貧困、麻薬、売春、エイズといった問題を抱えながら生活している者が多くいます。そこで、このような社会問題に関する理解を深めるために、チェンライにおいて、Maekok Foundationという施設に寝泊まりしながら、少数民族の歴史を学ぶと同時に、生活実態調査を実施しました。具体的には、Maekok Foundationを拠点に、けし栽培をしていた「ゴールデン・トライアングル」地帯の訪問、少数民族の村での生活実態調査の実施、および少数民族の収入向上として、けし栽培に代わるコーヒー栽培の取り組みの視察などを通して、少数民族のたどってきた道、および現在の生活を理解することができました。また、Maekok Foundationや近くの小学校の子どもたちとの交流から、子どもたちの直面する問題をより身近に感じることができました。
(以上は、引率した佐藤都喜子学科長の報告書「タイ研修を振り返って」より引用し一部編集したものです。)