准教授

竹内 慶至

Noriyuki TAKEUCHI

専門: 社会学、医療社会学

1981年福井県鯖江市生まれ。愛知教育大学教育学部卒業。東京大学文学部研究生を経て、大阪大学大学院人間学研究科博士後期課程単位修得退学。博士(人間科学)。金沢大学子どものこころの発達研究センター特任助教、大阪大学大学院連合小児発達学研究科専任助教などを経て、現職に至る。

詳しい経歴

しなやかに生きるための術を学ぼう。

「大学」という場所は皆さんの「可能性」をさらに追求する場所です。同じような悩みをもった友人たちと、共に悩み、共に考え、行動に移していってもらえたらと思います。

専門分野

専門は社会学です。その中でも特に、医療社会学を専門とし、緩和ケアや終末期ケアなど医療・福祉の問題、自閉症スペクトラムをはじめとする発達障害の問題について研究しています。

最近では、外国にルーツのある子どもたちのコミュニケーション問題が「発達障害」として扱われてしまう問題やオーストラリアやアメリカ、ヨーロッパ各国など海外のインクルーシブ教育(障害のある子どもや難民の子ども、様々なマイノリティの子ども等を誰も取りこぼさずに教育すること)の国際比較についてフィールドワークを行っています。

日本に住んでいる外国にルーツのある子どもたちは日本語だけでなく場合によっては母語による言語コミュニケーションに困難を抱えていることがあります。本当は言語を修得していないことによってコミュニケーションの問題が生じているのですが、その問題が「発達障害」という誤った形でラベリングされてしまっているのではないかということが指摘されており、その問題を研究しています。また、海外のインクルーシブ教育と比較研究を行うことで、日本の教育現場がダイバーシティ:多様性やインクルージョン:包摂(略してD&I)をきちんと確保できているのか、ということについても研究しています。

学科で教えていること

「リテラシー原論」では社会科学を基礎に「現代社会の読み解き方」、具体的にはグローバリゼーションやジェンダー、メディア論や統計学などの基本的な知識を講義しています。2年生以上が履修する「社会包摂論」では、いわゆる差別やヘイトスピーチ、在日外国人や移民・難民等の問題を「社会的排除/社会的包摂」と言われる枠組みを用いて学んでいきます。

さらに、応用編として「ガバナンス演習(コミュニケーションデザイン)」では、様々なアイデアを具体的なモノに落とし込むこと(ここでの「落とし込む作業=デザイン」は、文房具や洋服などの狭義のデザインだけでなく、社会政策や法律、人間のコミュニケーションなど、広義のデザインを意味しています。)をワークショップ形式で行います。

担当科目

リテラシー原論、社会包摂論、ガバナンス演習(コミュニケーションデザイン)、基礎ゼミナール、専門ゼミナール、世界理解の方法、Academic Skills、特別支援教育(教職科目)

ゼミのテーマ

基礎ゼミでは、現代社会におけるジェンダーをめぐる諸問題に焦点を当て、社会問題や社会現象の見方を考える「ジェンダーの社会学」をテーマにリサーチ手法や問いの立て方、文献や資料の読み解き方を学びます。

専門ゼミでは、毎年テーマは少しずつ変わっていきますが、アイデンティティや文化、差別や多文化共生などに関する社会学をテーマにゼミを進めていきます。2022年度は「移動の社会学」がテーマで、「移動」という視点から現代社会における諸現象―グローバリゼーションや自動車や飛行機等の交通システム、移民労働者や難民、観光や医療ツーリズム、テロ、SNSや携帯電話など―について俯瞰的に見ていきます。竹内ゼミの特徴として、3、4年生合同でゼミを行うことで、多様なものの見方を知り、先輩からも就活や報告の仕方、文献の読み方などを学ぶことができます。

基礎ゼミ、専門ゼミ共通して、ゼミ生は個々に「自分のテーマ」を決めて「個人研究」を進めていきます。個々に進めていく研究テーマは自由に選択でき、自分が興味をもったテーマについて研究を進めていきます。具体的には、ジェンダーや教育、メディアや多文化共生、家族関係などのオーソドックスなテーマから、感情労働、介護殺人や大学教育、エクストリームスポーツ、犯罪加害者家族の責任、女性オタク研究など、バライエティに富んだ「自分が本当に考えたいこと」を探りながら研究を行います。毎年数名が卒業論文の執筆に挑戦しています。

過去の学生の卒業論文

  • 日本の移民者のアイデンティティ形成
  • 食品広告における女性の描かれ方
  • 大学における教養教育
  • 労働力輸入としての外国人技能実習制度
  • 被爆体験の継承とは何か

ゼミの写真

ゼミ合宿では、「クリエイティビティ(創造性)」を体感し、考えるために、毎回必ず「アート」の要素を取り入れます。これもその一環として、直島に行った時の写真です。直島は現代アートの聖地としても知られています。
ゼミ合宿の一コマから。直島にある「かぼちゃ」です。前衛アーティストとして知られる草間彌生さんの作品です。
「アート」は体感してこそ意味がある。ゼミ合宿で金沢の21世紀美術館を訪れたときの一コマです。21世紀美術館は様々な美術館ランキングでいつも上位に入る常連です。

主な著書

  • 『情報生産者になってみた』(分担執筆、2021年、筑摩書房)
  • 『社会学で描く現代社会のスケッチ』(分担執筆、2019年、みらい)
  • 『学びの技法』(分担執筆、2019年、名古屋外国語大学出版会)
  • 『自閉症という謎に迫る』(編著、2013年、小学館)
  • 『現代の高校生は何を考えているか』(分担執筆、2009年、世界思想社)

おすすめの海外滞在地

ニューヨーク=マンハッタン

マンハッタンは「夢の街」だと思います。日本人も含め様々な人種の人々が入り乱れ、個々の人間が自分たちの「生:life」や「夢:dream」を追求している、世界で最もエネルギッシュな街のひとつです。是非、10代、20代のうちに訪れてみてほしいと思います。