お坊さんになるための専門学校で講演をしてきました
2025年10月4日 | 教員の研究・出版物

2025年6月に大阪府高槻市にある「行信教校(ぎょうしんきょうこう)」という学校で講演をしてきました。ここは浄土真宗の僧侶を養成する学校で、常見寺(じょうけんじ)というお寺の一角に校舎や寮があります。この学校の授業科目は当然仏教関係ばかりですが、半年に一度、外部から講師を招いて自由に話していただいているそうで、この度、この常見寺の檀家である私に声がかかりました。ここに行くのは除夜の鐘をつく年越しイベントに毎年参加していた幼いころ以来で、訪れてみると、当時は広大に感じられた境内は思いのほか小ぶりでした。道理で年をとったわけです。
さて、講演は受講生たちによる念仏の唱和で始まり、普段の大学での授業とは全く違う雰囲気を味わわせていただきました。講演の内容としては、「人生で一番美味しかったものは何か」という問いを出発地点とし、さらに「なぜそれは美味しかったのか」と問いながら、「事象の真の原因は何か」、「価値は人それぞれか」、「普遍的なものは実在するか」といった哲学的テーマへと掘り下げていきました。受講生は設定されたテーマ自体からは抽象的で難解な印象を受けたようですが、自分たちの具体的な経験をグループごとにワイワイと語ってもらいながら進めていきましたので、全体として活発に意見や冗談が飛び交う明るい雰囲気のもとで時間が過ぎていきました。

念仏で始まった講演は本尊への読経で終わりました。約三〇名の仏僧による美しい声明に耳を傾けながら、私は仏教学者だった父もかつてこの学校で授業をしていたことに思いを馳せていました。私には、幼少期に死別した父の記憶がほとんどないのですが、この学校の図書館には父が残した数千冊の蔵書が置かれてあったり、父のことを伝え知る人もいたりと、父の足跡が刻まれていることを感じました。冬にまたここで講演をさせていただく予定です。再訪が楽しみです。
執筆者:根無一信(哲学・倫理学・宗教学)
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